こんにちは。CTOの永井(shnagai)です。
早いもので今年も残すところ数日ですね。
アドベントカレンダー最終日ということで、技術的なトピックやチームでの工夫はこれまでの記事でみんなが思う存分書いてくれたので、今回は2023年のコネヒト開発組織の1年を自分の視点で振り返っていこうと思います。
この記事は、コネヒトAdvent Calendar2023の25日目の記事です。
開発組織のアップデートと特に目立った技術的なトピックという構成で書いてます。
開発組織のリフレーミングと頼れる多くの仲間のジョイン
FY23のスタートに合わせて、開発組織のリフレーミングを行いました。
それぞれのチームの関係を可視化
期初のタイミングでチームトポロジーを参考に、それぞれのチームの構造を改めて可視化しました。
自分はチームトポロジーの、ストリームアラインドチームが出す価値の総量が開発組織のバリューという考えに非常に感銘を受けており、プロダクトの先にいるユーザーファーストの考えをうまく組織に当てはめた考えだなと思っています。
ママリや自治体向け事業等の事業毎にストリームアラインドチームを配置して、事業部と密に連携しながら開発するスタイルをコネヒトでは採用しています。
コンプリケイテッドサブシステムチームは技術的難易度の高い領域を受け持ち、プラットフォームチームでは、ストリームアラインドチームの認知負荷を減らしプラットフォームエンジニアリングでプロダクトの価値最大化に貢献することをミッションにしています。
下記は、期初戦略で全社に説明した資料の一部です。
※現在はメンバー増によりストリームアラインドが増えています。
ピープルマネジメントをEMに集約 〜エンジニアがよりプロダクト・事業に集中出来る体制へ〜
元々コネヒトでは、各開発グループにグループリーダー(以後、GL)を配置し、そのGLがチームのマネジメント4象限(ピープル/プロダクト/プロジェクト/テクノロジー)を全て担う構造にしていました。
だいたい2,3名のチームにそれぞれGLがいる構造だったのですが、今の組織フェーズ的にはエンジニアがよりプロダクトや事業に集中する時間を作るほうが良いと判断して、ピープルマネジメント業務をチーム横断でEM 2名に集約しました。
全てがうまくいっているわけではありませんが、ピープルマネジメントを集約したことでメンバーからはよりプロダクトや事業に集中出来ているというフィードバックをもらっており、一定うまくいっている施策だなと思っています。
制度やロールは常に見直しながらアップデートしていくのが良いと思っており、これからも組織拡大に合わせて柔軟に見直していき、アジリティの高い開発が出来るようにしていきたいと思っています。
きれいなことばかり書きましたが、テックリードという役割を設けるトライもしたのですが、中々イメージの言語化や定義が追いつかずに、役割を担ってくれたメンバーと対話しながら、半年でまた別のロールにしたりと頼れる同僚とともに試行錯誤しながらやっています。
3人に1人を目指して 多くの仲間のジョイン
今年は、7名の新しいエンジニアがコネヒトにジョインしてくれました。
コネヒトでは、テックビジョンにおいて「3人に1人」という戦術を掲げており、会社としてやりたい事業を全て実現し、テクノロジーやエンジニアリングの恩恵を社内も受け、そしてエンジニア以外でもテクノロジーを使いこなせるような世界を目指しています。
今年ジョインしてくれた仲間の職種も多岐に渡るのですが、それぞれが所属するチームや開発組織でバリューを発揮してくれており全体として活気づいています。
社内のエンジニア比率が高まっていく中で、生成AIの技術革新もあいまってテックビジョンに掲げる世界をより実現フェーズに持っていくために新たな動きも走り始めています。
全社向けに生成AIの活用とテクノロジーを利用した業務改善を推進する「Run with Tech 」プロジェクトで、こちらは、また、どこかの機会で紹介出来ればと思っています。
続いて、今年特に印象的に残った技術的なトピックについても紹介していければと思います。
検索システムの内製化完了
今年技術的なトピックで一番大きなトピックといえば検索システムの内製化が完了したことがまず挙げられます。
これまで、SaaSの検索システムを内部のAPIから呼び出す形式で使っていたものを、フルリプレイスする形で0から検索システムを構築しました。
時系列で見る検索システム内製化の軌跡
- 2021年10月 構想開始
- 2022年3月 経営承認
- 2022年4月 開発開始
- 2022年8月 最初の機能(新着質問順)のリプレイス完了
- 2023年6月 全ての機能のリプレイス完了
主な狙いは、検索システムを内部で持つことによるユーザー体験の強化とSaaS入れ替えによる費用削減の2点でした。
時系列で書くとすんなり言ったように見えますが、すべての機能において既存とのABテストを行いママリにおける検索体験のユーザー毀損がないことを細かく確認しながらリプレイスを行いました。
新着順、人気順、サジェスト、関連キーワードと多岐に渡る機能のABテストはSaaS提供と同品質をゴールにしている関係で中々にヒリヒリするもので、メインで担当していた同僚達のやり切る力には脱帽です。
技術的な要素を少し解説すると、検索システム内製化には下記技術要素があります。
- 内部APIから呼ばれる検索API(Go)
- 検索エンジンにはOpenSearchを採用
- 技術的難易度が一番高かったデータ同期の仕組みにはAWS GlueとStepFunctionsでニアリアルタイムな基盤を構築 tech.connehito.com
担当したメンバーは全員検索システムは未経験だったので、みんなでペンギン本を読んで輪読会をしたり、壁にぶつかるたびに議論して一歩ずつ前に進んでいきました。私自身もメンバーとして当初コミットしていて、検索システムは奥深くエンジニアとしてまた一つ成長できた良い機会だったと感じています。
もちろん、リプレイスをして終了ではなく、ようやく検索システムをママリの武器に出来るスタートラインに立てたので、昨今のLLM全盛の時勢も鑑みながら、キーワード検索にとらわれずよりユーザーにとってママリの検索がより使いやすいものであり続けられるように技術的な検証や新たなトライも既に始まっています。
「終わらせることを始めよう」を合言葉に最終的に3ヶ月計画を前倒しし、検索システム内製化という成果に対して社内表彰もされたプロジェクトとなりました。
ユーザーへの価値提供という点では、まさにこれから真価を問われることになりますが、テクノロジーでプロダクトを伸ばす先端事例になるような取組みなので今後がより楽しみです。
Let’s Go
コネヒトのテックビジョンでは、「バックエンドのシステムにGoを積極的に導入する」という戦略を掲げていおりその戦術名が「Let's Go」です。
これまでも、前述の検索APIしかり新規のシステムでのGoの採用は何度か行ってきました。それらを通しての、組織としての知見の習得はそこそこ進んできたかと感じています。
このLet’s Goの作戦は、aboyがボールを持って中心に進めてくれているのですが、今年の大きな進歩として、既存のPHPで書かれたコードベースをGoに置き換えるというプロジェクトが走り出しました。
まずは、Goの特徴である並列処理やワーカー実装のしやすさを活かせる非同期のバッチ処理のリプレイスを実施していますが、メインシステムを適材適所でGoに置き換える動きがスタートしているのは開発組織として大きな一歩だなと感じています。
中期戦略では、2024年中にバッチ処理を全てGoに置き換えるというチャレンジングな目標を掲げており、その実現に向けて日々開発を進めています。
また、Let’s Go Talkという社主催のイベントも定期的に実施しており、Go好きがゆるく繋がれるようなコミュニティも作っていきたいと思っているので興味のある方は是非ご参加ください。
コネヒト/Connehito Inc. - connpass
まとめ
2024年も引き続きプロダクトや事業を伸ばしていくことに注力しつつ、テックビジョンに掲げる「Beyond a Tech Company」の実現に向けてCTOというラベルを活かして色々と策を打っていこうと思います。
テックビジョンの存在が羅針盤からより会社の中で身近なものになっていけば、コネヒトとしてユーザーや社会に約束するありたい世界観の実現に近づいていくと自分は信じています。
最後にですが、エンジニアはもちろん、幅広い職種で採用もしていますので興味持たれた方は是非ご応募いただきカジュアルにお話出来るとうれしいです。