コネヒト開発者ブログ

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デザイナーの生産性を高める3つの改善策

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お疲れ様です!デザイナーのきよえし(@kiyoe_furuichi)です。 今回は「生産性」というテーマと戦って得た学びについて書いてみたいと思います。 少し長いので、お茶でも飲みながらゆっくり読んでくださいね。

生産性とは

インプット(成果を生み出すためのヒト・時間・情報など)に対するアウトプットの比率のことを「生産性」と言います。 生産性は、少ないインプットで大きなアウトプットを得られると生産性が高いと評価され、大きなインプットの割にアウトプットが小さいと生産性は低いとされます。

デザイナーのお仕事で例えると、バナーを1日で作成してリリースするのと、半日で作成してリリースをするのとを比較して、成果物は同じものだとすると後者の方が「生産性が高い」ということになります。

きっかけ

「忙しい」を理由に思考時間を減らすのをやめたいと思ったことがきっかけでした。 サービスの成長と共にチャレンジできることが増え、好きな領域で活躍できることが嬉しい一方、目の前のissueに追われ本質からモノゴトを考える余裕がなくなっていました。 そんな状況だと質の高いアウトプットは出せない・精神衛生上良くない = 生産性が低下するという問題意識から、自分の仕事のやり方を見直すことにしました。

実践

生産性を高めるために実践したことは以下の3つです。

  1. RescueTimeで消費時間を可視化する
  2. issueを細かく分解する
  3. 情報を断捨離する

補足すると、今回は特に問題意識の高い「時間の使い方」にフォーカスして実践しました。時間の使い方が上手になると本質的な作業への消費できる時間が増えるため、デザインの質が上がり、生産性が高まると考えたためです。

1. RescueTimeで消費時間を可視化する

RescueTime(以下レスキュータイム)というツールを使って、1日の作業内容のうち、本質的な作業にどれだけ時間を消費できたかどうかを計測します。

例えばこのログをご覧ください。私の記念すべき初レスキュータイムの結果です。

f:id:connehito:20170330201240p:plain (本質的な作業 = Software Development + Design & Composition)

グラフを見ると、1日の作業時間の約30%がCommunication (to Slack)に消費されていることがわかります。本質的な作業よりもコミュニケーションの時間が掛かっているのは健全ではありません。 レスキュータイムのログを毎日退社前に見ながら、1日を振り返って改善ポイントを洗い出します。 ちなみにこの日は以下のような反省をしました。

Slackの閲覧時間が多くなってしまう原因として、モニター上に表示しっぱなしで新着の投稿があると気になって開いてしまうことがあげられる。必要なとき以外は目に止まらないようにウィンドウを非表示にしたり不要なチャンネルをミュートするなどで工夫をしよう。

2. issueを細かく分解する

(このやり方はgithub/ZenHubを利用した進捗管理を行なっている方に限定されます)

issueの粒度を細かくすることでアウトプットのゴールを明確にします。 そうすることで1作業に対しどのくらい時間を消費したかどうかが見やすく振り返りもしやすくなります。

例えば「新しい機能のUI設計」というissueがあるとします。細分化するとそのissueをepic(親)としてUI設計に必要な工程ごとにこのように分けることができます。

  • 【epic】 新しい機能のUI設計
    1. 【issue】 アイデア出し
      • ゴール:頭の中でイメージを固める
    2. 【issue】 ワイヤー作成
      • ゴール:ディレクターにOKをもらう
    3. 【issue】 Sketchデータ作成__iOS
      • ゴール:prott確認ができる状態に落とす
    4. 【issue】 Sketchデータ作成__android
      • ゴール:prott確認ができる状態に落とす
    5. 【issue】 確認・修正
      • ゴール:ディレクター・エンジニアと確認を行い、OKをもらう
    6. 【issue】 Zeplinデータ納品
      • ゴール:ZeplinデータをiOS/androidエンジニア両方に納品する

細分化すると一覧として見たときにすごい量になり管理が難しくなりますが、ZenHub(ゼンハブ)というプロジェクト管理ツールでissue管理を行い、次やるべきissueや進捗が明確になるようにしています。

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in Progress が現在着手しているissueで、in Reviewがレビュー中、そしてDesign には1スプリント内に着手するissueが順番に並んでいます。

3. 情報を断捨離する

1に記載したレスキュータイムを始めてから、コミュニケーションで時間を消費しすぎているという課題を発見したため、見るもの・見ないものを分別して情報の断捨離を行いました。 主に以下の3つを意識して時間の節約を行なっています。

① タイムラインは閲覧を控える

Slackやカレンダー、SNSなどタイムラインを追うツールはマインドシェアを取られがちなので必要以上には見ないようにしています。
特にSlackの分報の使い方には注意しています。気軽に気づきやつらみを共有することを目的とするチャンネルですが、ついおしゃべりをしてしまうので時間を区切って見るなど常駐しないように気をつけています。

② 大事なことを見逃さないように工夫する

タイムラインの閲覧を控えると、タイムラインが流れてしまい大事な要件を見逃してしまうことがあります。うっかりしないよう、以下のSlackの設定で予防できるようにしました。

  • Slackの /remind機能を利用し、タイムラインを見る頻度を減らす
  • 必ず見るChannelは通知が来るように設定し、見逃しを予防する
  • 定期的に見ないChannelはミュートし、見るべきものだけにフォーカスできるようにする

③ 1次情報をなるべくチェックする

タイムラインの閲覧を制限すると得られる情報に偏りがでてしまうため、議事録やメモなど、まとめられた資料を読んでキャッチアップしています。 コネヒトではDocBase(ドックベース)というドキュメント共有ツールを利用しているので、そちらに投稿されたものは毎日数分時間を取って読んでいます。

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成果

上記3つを3ヶ月間実践した結果、3つの改善をすることができました。(333!)

1. 本質的な作業への消費時間が増えた

RescueTimeを見ると時間の使い方が大分良くなったことがわかります。
1日の作業時間のうち、本質的な作業に消費する時間が40%から64%と約1.5倍の改善を達成することができました。

f:id:connehito:20170330201425p:plain (本質的な作業 = Software Development + Design & Composition)

2. デザインの質が上がった

1issueに掛ける時間を増やしたことで、制作後の手戻り回数を減らすことができました。さらに 1スプリント内に消化できるストーリーポイントの合計が22ptから48ptと2倍近く増え、着手できるissueをかなり増やすことができました。(まぐれかもしれないので、引き続き邁進します)

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3. 気持ちに適度な余裕ができた

時間に余白をつくることができたため、納品が近い成果物があった場合も気合いで解決することがなくなりました。切羽詰まるような不安要素がなくなり、健全な気持ちでモノゴトに立ち向かえるようになりました。

終わりに

生産性というテーマと向き合う中で、デザイナーとして一歩成長することができました。サービスのことを俯瞰して考える時間が増え、自分自身が納得感を持てるアウトプットを出せるようになったからです。
とはいえ、今回ご紹介した改善策は、"マイナスをゼロに戻すためのもの"だと考えています。
「生産性を高める」ということにおいて、良いアウトプットを出すためにはやっぱりスキル面を磨かないといけません。そのために、今後はゼロからプラスにするための改善に取り組んでいこうと考えています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

参考